機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争

『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』は、1989年に公開されたOVA形式の作品で、全6話から構成されています。略称は「0080」や「ポケ戦」と親しまれ、多くのファンに支持されてきました。これまでのガンダムシリーズの中で、富野由悠季以外の監督による初めての試みであり、OVA形式で展開されたガンダム作品の先駆けとも言えます。

概要

本作は、1989年にリリースされたOVAの第2弾として登場しました。単品で4800円という低価格で販売され、全6話を1本の映画として構成しています。これにより、視聴者は映画的な体験を享受でき、大ヒットを記録しました。監督には高山文彦が起用され、彼は自身のロボットアニメに対する疑問を抱いており、結果的に人間ドラマに重点を置いた作品作りをすることとなりました。

本作には、今までのガンダムシリーズに見られたニュータイプの要素が薄れており、一般市民の視点から戦争を描写している点が特筆されます。舞台は中立のサイド6というコロニーで、主人公の小学生アルフレッドが非戦闘員であるという独特の設定を持っています。アルを演じた声優、浪川大輔は当時わずか12歳であり、ガンダム作品の主人公声優の中で最年少の記録を持っています。

ストーリー

物語は一年戦争末期、地球連邦軍が新型ガンダム「NT-1」を開発中という情報を得たジオン公国軍の特殊部隊「サイクロプス隊」が、北極の連邦軍基地を襲撃する場面から始まります。失敗に終わった襲撃によって、コロニー「リボー」に運ばれた新型ガンダムの存在を知ったジオン軍は、再度行動に出ます。

中立コロニーの小学生アルフレッドは、宇宙港で新型ガンダムが輸送される様子に興味を持ちます。そして彼は、サイクロプス隊に参加することになり、ジオンの兵士・バーナード（バーニィ）との交流を通じて、戦争の現実を体験することになります。アルはバーニィに刺激を受け、彼との関係が深まる中で、戦争の陰惨さやその影響を徐々に理解していきます。

物語のクライマックスでは、クリスマスの日に核攻撃が迫る中、アルとバーニィの運命が交錯し、彼は戦う決意を固めますが、最終的には戦争がもたらす悲劇を目の当たりにします。アルは、友情や信頼が崩壊する様子を経験し、戦争が無垢な人々にどのような影響を及ぼすかを考えさせられると共に、彼自身が成長していく姿が描かれます。

登場人物

- アルフレッド・イズルハ（アル）： 主人公の小学生。戦争という現実に直面し成長する。
- バーナード・ワイズマン（バーニィ）： ジオン公国軍のパイロット。アルとの交流を通じて彼に影響を与える。
- クリスチーナ・マッケンジー（クリス）： アルの幼馴染みで、彼と共に戦争の影響を受ける。

スタッフ

本作はサンライズが企画・製作し、原作には矢立肇や富野由悠季が名を連ねています。監督の高山文彦は、これまでのガンダム作品とは異なるアプローチを試みており、脚本を手掛けた山賀博之も自らの感情を込めながら物語を描き出しました。

評価

『0080』はその独自の視点と、戦争を描いた深い人間ドラマから、多くの賞賛を受けています。また、作品のテーマやストーリーが多層的であることから、視聴者に様々な解釈を可能にする点が評価されています。これにより、登場人物たちの成長や葛藤が、作品に深みを与えています。今でも多くのファンに愛される作品であり、その影響は後続のガンダムシリーズにも色濃く残っています。

もう一度検索